刺さる人には神ゲー、合わない人にはとことん ─ 『クセあり』3 選
「万人受けはしない。でも、ハマる人にとっては替えのきかない一本になる」 ─ ゲームには確かにそういう種類のものがあります。
正直堂のマトリクスでは、Steam スコアがやや控えめ(95% 未満)で、深層スコア(レビュー本文から読み取る「面白さの実感」)も平均的には伸びにくいタイトルを「クセあり」象限としてまとめています。数字だけ見ると地味に映りますが、その地味さは「合わない人の声」も正直に含んだ結果であり、刺さる人にとっての価値とは別物です。
はじめに ─ 「クセあり」は「出来が悪い」ではありません
最初にはっきりさせておきます。この象限は「失敗作」を集めたものではありません。 ここで紹介する 3 本は、いずれも Steam で「非常に好評(Very Positive)」前後の評価を得た作品です。それでも「クセあり」としているのは、次のような理由です。
- 好みがはっきり分かれるため、Steam スコアが 95% の壁を越えにくい(=合わない人の低評価も一定数ある)
- 高難度・理不尽さ・膨大な学習量・独特の世界観など、「人を選ぶ要素」が作品の核そのものになっている
- だから「合う人」の評価は熱狂的でも、平均すると深層スコアはやや下がる
「期待値注意」象限(Steam 95% 以上 × 深層やや低め)が 「高評価だが壁がある」 タイプだとすれば、「クセあり」は 「評価の数字そのものに賛否が表れている」 タイプです。どちらも作品の否定ではなく、買う前に「自分はこのクセを楽しめるか」を確認するための助言です(評価方法の詳細は Steamの『好評』、本当に好評ですか?、AI 分析の限界は このサイトについて と 免責事項 をご覧ください)。
それでは、合えば一生もの・合わなければとことん合わない 3 タイトルです。
1. Rain World — 美しい生態系、その中で「生き延びる」厳しさ
- Steam スコア: 94%(非常に好評・5.2 万件超)
- 深層スコア: やや低め(独自の世界観は絶賛、理不尽な難度で評価が割れる)
- 日本語対応: 🟢 緑(公式日本語対応)
- 価格: ¥2,800
Rain World は、Videocult による生態系サバイバル探索アクション。プレイヤーは「スラッグキャット」となり、無数の生き物が独自のルールで動き続ける世界を、捕食され・捕食しながら生き延びていく作品です。
レビュー本文では「これほど『世界が自分中心に回っていない』ゲームはない」「生態系の美しさと緊張感が唯一無二」と独創性が高く評価されます。その一方で、「理不尽に死ぬ」「どこへ行けばいいか分からず迷う」「難度が高すぎて心が折れる」 という声も同じくらい目立ちます。理不尽さや手探りの不安そのものを「世界に放り込まれた感覚」として楽しめるか が分かれ目で、明確な目標と達成感を求める人には厳しいことがあります。日本語対応があるぶん、ここでの「クセあり」は言語ではなくゲームデザインの方向性そのものです。
Rain World の正直堂マトリクス で象限位置を確認できます。
2. Dwarf Fortress — 世界一深いシミュレーション、世界一急な学習曲線
- Steam スコア: 94%(非常に好評・3.1 万件超)
- 深層スコア: やや低め(深さは伝説的だが、複雑さと日本語非対応の壁)
- 日本語対応: 🔴 赤(日本語非対応・英語のみ)
- 価格: ¥3,080
Dwarf Fortress は、Bay 12 Games による伝説的なコロニーシム。地形・気候・歴史・ドワーフ一人ひとりの感情までシミュレートされる、桁外れに深い世界を運営していく作品です。長く ASCII 表示のフリーソフトとして知られ、Steam 版でグラフィックと UI が整備されました。
レビュー本文では「これ以上深いゲームは存在しない」「物語が勝手に生まれてくる」と神格化に近い支持を集めます。合言葉は 「Losing is fun(負けることこそ楽しい)」。一方で、「覚えることが多すぎる」「何をすればいいか最初はまったく分からない」、加えて 日本語非対応 のため英語と Wiki の読解も前提になります。崩壊すらも物語として味わえる人 には無限に遊べますが、手軽な達成感を求めると序盤で跳ね返されます。
Dwarf Fortress の深層スコア詳細 で根拠を公開しています。
3. Project Zomboid — 「これがあなたの死に様」を受け入れられるか
- Steam スコア: 94%(非常に好評・45 万件超)
- 深層スコア: やや低め(緊張感は本物だが、過酷さと日本語非対応の壁)
- 日本語対応: 🔴 赤(公式日本語非対応・有志modで対応する例あり)
- 価格: ¥2,300
Project Zomboid は、The Indie Stone によるゾンビサバイバルシム。見下ろし視点で、空腹・体温・負傷・心理まで管理しながら、ゾンビに支配された街を「いつか必ず死ぬ」前提で生き延びていく作品です。ゲーム開始時に表示される 「This is how you died(これがあなたの死に様だ)」 が世界観を象徴しています。
レビュー本文では「生活シミュレーションとしての緊張感が随一」「準備と油断のバランスが緊迫する」と高く評価されます。その一方で、「序盤の作業が地味で長い」「理不尽に感じる死もある」「結局いつか死ぬのでモチベーションを保ちにくい」 という声も並びます。じわじわ追い詰められる過酷さを物語として楽しめるか が分かれ目で、達成感や明確なゴールを求める人には合わないことがあります。公式の日本語対応はなく、有志の翻訳 mod を導入する例があります(mod の利用は自己責任です)。
Project Zomboid の正直堂マトリクス で象限位置を確認できます。
「クセあり」の見極め方 ─ 控えめな数字をどう読むか
3 本に共通するのは、Steam スコアの「やや控えめさ」が、合わない人の声を正直に含んだ結果だということです。裏を返せば、合う人にとっては「95% 未満」という数字はまったく当てになりません。買う前に、次の 3 つを自分に問いかけてみてください。
- 理不尽さ・難度の壁(Rain World 型) ─ 手探りで迷い、理不尽に死ぬことを「世界の手触り」として楽しめるか?
- 複雑さ・学習量の壁(Dwarf Fortress 型) ─ 大量のルールや英語を、腰を据えて学ぶ時間が取れるか?
- 過酷さ・先のなさの壁(Project Zomboid 型) ─ 明確なゴールがなく、いつか必ず終わる過酷さを、物語として味わえるか?
この問いに「楽しめる」と答えられるなら、その作品はあなたにとって「クセあり」ではなく「神ゲー」です。逆に迷うなら、セール時に試す・実況を一度見るなど、一呼吸おいてから手に取るのが安全です。クセあり象限の作品は、合えば長く深く付き合える一方、合わないと早々に積んでしまうため、見極めの価値がとくに大きい象限です。
「クセあり」象限の全タイトルは、ゲーム一覧の象限フィルタ からまとめて見られます。Steam スコア・深層スコア・日本語対応の 3 軸が並ぶため、「自分のクセに合うか」を買う前に見極めるのに使えます。
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